![]() |
![]() |
|
![]() |
||
![]() |
||
![]() |
||
![]() |
||
![]() |
||
![]() |
||
![]() |
![]() |
|
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
1.社会・治安情勢
2013年8月に成立したローハニ政権により,昨年7月,イランとP5+1(米,英,仏,露,中,独)との間でイランの核問題に関する最終合意がなされ,本年1月に同合意が履行に移されました。他方,イラン国内の経済状況については,インフレ率や失業率もやや改善傾向にはあるものの,依然として高いレベルにあるなど厳しい状況にあります。
ISILの動向については,これまでイラン国内におけるテロの発生は見られていないものの,同組織の関係者とされる人物が逮捕された旨の報道が確認されております。
こうした状況下,治安面では,テロによる脅威は少ないものの,依然として邦人に対する強盗や窃盗事件の発生が見られるなど,イラン国内での行動に当たっては(特に外出時)十分に注意が必要です。
また,本年1月には,サウジアラビアにおけるイスラム教シーア派聖職者の死刑執行に対する抗議デモが発生しました。デモ関連情報等については,当館から必要に応じて注意喚起を発出しておりますが,定期的に最新の報道や当館又は外務省海外安全ホームページをご確認いただくなど,自らの安全確保のための情報収集を心掛けてください。
2.一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1)イランでは,犯罪件数等に関する統計が公表されていませんが,各種報道に照らしてみると一般犯罪は慢性的に発生しているものと考えられます。邦人に対する主な被害として,強盗(昏睡強盗,刃物を使用したスマートフォン等携帯端末を狙った強盗),窃盗(ひったくり,スリ等)の事件が発生しております。最近の一般犯罪に関する報道は以下のとおりです。
・1月23日,イラン法医局の発表によれば,一昨年3月から昨年11月までの8か月間で,テヘラン市において約90人が刃物により殺害されたと発表した。同局担当官は,その数は昨年同比で6%増加したと述べた。
・3月10日,イラン治安維持軍(警察)の発表によると,この1年間で強盗件数は5%減少したが,路上における粗暴犯罪件数は16%増加した。
また,薬物事犯については,本年3月5日,イラン警察麻薬対策局が,「過去12か月間の麻薬押収量は525トン以上に上り,前年同比で14%増加した。」と発表しました。また,昨年10月31日に発表されたイラン法医局の報告書によれば,昨年3月から9月までの6か月間で,イラン国内で1,470人が麻薬中毒により死亡したとされるなど,薬物情勢に好転の兆しは認められず,麻薬密輸グループの摘発や麻薬類の押収に関する報道は後を絶ちません。
(2)邦人被害事案
1月22日,テヘラン市内のバザール(市場)において,邦人旅行者(男性)が被害者となる窃盗(スリ)事件が発生しました。被害旅行者は,同所で買物をしていたところ,ズボンの左後ろポケットに入れていた二つ折り財布(現金在中)を盗まれました。同バザール内は大変混雑していたとのことです。
(3)邦人以外の主な凶悪犯罪事案
2月13日,イラン南西部フーゼスタン州シューシュのモスタファ・ナザリ検事は,同地の治安機関が,銃撃事件に関わった被疑者9人を逮捕したことを明らかにしました。近年同州では,銃器で武装した犯人による,結婚式や宗教行事を狙った銃撃事件が発生し,死傷者が出てます。
3.テロ・爆発事件発生状況
(1)テヘラン市内
3月16日,テヘラン市内大バザール近くの複合施設内において爆発が発生し,少なくとも39人が負傷しました(邦人の被害はなし)。治安当局の発表によれば,当該爆発は故意によるものではなく,事故とみられます。
(2)南東部パキスタン国境付近(シスタン・バルチスタン州等)
同地域には,スンニ派テロ組織「ジュンドッラー(「神の軍」の意)」のほか,「ジェイシュ・アルアドル(正義の軍隊)」と呼ばれるスンニ派の反政府組織が存在し,同組織らによる政府関係者,治安関係者のほか,一般市民に対するテロ,爆発事件が頻発しています。
なお,同州においては最近,以下の事件が発生しております。
・1月22日,シスタン・バルチスタン州イランシャフル市で,警察官と武装した麻薬密売人との間で銃撃戦が発生し,警察官2人が死亡,2人が負傷した。当該銃撃戦により麻薬密売人2人が殺害され,負傷した2人が逮捕された。
・1月26日,同州チャバハール郡で,武装集団が警察官1人を殺害した。
・3月31日,同州イランシャフル市で,武装集団が銃撃により警察官1人を殺害,1人を負傷させた。
(3)北西部イラク国境付近
同地域では,「PJAK(クルド自由声明党)」がクルド人独立民主共和国家の建設を目指し,イラン政府、軍及び治安関係者を標的とした武装襲撃を敢行しており,昨年8月11日には同組織が,クルディスタン州カーミャーラン地区にて,バシジ(志願民兵)構成員5名を殺害しています。
また,同地域においては,下記報道のとおりISIL関連の動向が見られます。
・2月8日,イラン警察のホセイン・アシュタリ長官は,過去数か月間で国境警備隊が,イランの東部及び西部国境地域においてISIL関係者を含む10人のテロリストを逮捕したと述べた。
・3月14日,イラン正規軍陸軍プールダスタン司令官は,同軍がイラン西部国境から同国への入国を試みていた2つのISIL関連組織を制圧したと述べた。また,当該オペレーションにおいて,多数の自爆ベルトや爆破装置等を押収したことを明らかにした。
なお,イラン警察のホセイン・アシュタリ長官は,上記①の発表に際し,武装勢力や反革命勢力がイランに入国することを阻止するため,今後,近隣国と協力関係を強化するなど,更なる国境警備を講じていく計画を明らかにしたほか,イラン正規軍陸軍プールダスタン司令官は上記②の発表に際し,イランの治安機関は国境地域におけるテロリストの動きについては常に監視下に置かれていると強調しました。
4.誘拐・脅迫事件発生情報
(1)誘拐事件
第4四半期中,誘拐事件が発生したとの情報には接していません。
(2)脅迫事件
第4四半期中,脅迫事件が発生したとの情報には接していません。
5.日本企業の安全に関わる諸問題
現時点,日本企業であることを理由とした脅威は認められないものの,上記治安情勢を考慮しますと,引き続き楽観視できない状況にありますので注意が必要です。定期的に最新の報道や外務省海外安全ホームページ等をご確認いただくなど,自らの安全確保のための情報収集を心掛けてください。